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西関東逃避旅行(4)

前回の続き。

2009年2月17日(火)午後2時前、八王子から八高線川越行きに乗り、手帳にメモを書きなぐりながら、まもなく高麗川に到着しようとしていた。
深く、鬱々と、悶々としていた。
理由を知りたい方は、『西関東逃避旅行(1)』『西関東逃避旅行(2)』『西関東逃避旅行(3)』を先に読んでください。

小さな峠を超えると、車窓に高麗川の町が広がった。
行政区分的には、「埼玉県日高市」である。

高麗川駅で下車。
「ホームが低いのでご注意ください」とのアナウンスどおり、電車の床面とホームの間に、20cmの段差がある。
高麗川駅より北側は、電化されていない。
乗降口にステップのついたディーゼル気動車が、ガラガラとエンジン音を立てて走っている、ホームが低い、ローカル路線区間なのだ。

ひさしぶりのディーゼル気動車の匂い。
ぼくの田舎にも、こんなのしか走っていない。
発車まで30分以上あるのに、列車はホームでアイドリングしながら、客が乗るのを待っていた。



車内に入ると、数人が既に乗車していた。
みんな、ボックス席を独り占めし、目を閉じている。
ぼくも、空いているボックス席を、独り占め。脚を前の座席に投げ出す。
春のような日差しが差し込む。ガラガラというアイドリングの振動が、眠気を誘う。
昔の思い出が頭を巡る。
中学時代、高校時代の思い出。
ディーゼル列車の音は、ぼくの故郷と同じ音。
ディーゼル列車の排気ガスの匂いは、ぼくの故郷と同じ匂い。

もう、何かを考えようとは思わない。
何も考えなくても良いではないか。
何か考えて、物事は好転するのか?



山、畑、集落、公民館、といった風景が続く。
線路脇の道路を、ランドセルを背負った小学生が走っていた。
ときどき、こちらに向かって手を振る子どももいる。
ああ、列車の少ない場所なんだな、と思う。
そして、ぼくも昔、線路脇に立って、来る列車に手を振っていたのを思い出した。

ときどき、東武鉄道の線路が近付く。
東武東上線は、こんなところまで来ているのか。
八高線のホームとは違い、結構賑わっているようだった。



多分、行動することにしか意味はないのだろうな。
今日は、逃げたことに意味があったのだ。
何かを考えるために、逃げたのではない。
結論を求めて、逃げたのではない。
逃げるために、逃げたのだ。
それ以上でも、それ以下でもない。

生きるって、そういうことなんだな。
生きているから、生きているのだ。
空気があることに疑問を感じないのと一緒だ。
空気があるから、呼吸をするのだ。
生きているから、生きるのだ。
疑問を差し挟む余地は一切ない。

仮に、深く深く考えて、ぼくが鬱であることの理由が分かったとしよう。
だから、何なのだ?
今、分からなければならない理由は何も無い。
それで鬱が治る保証も、無い。
生きるために鬱を治す、そんな必要も、無い。

悩んで、泣いて、笑って、その結果、自分の人生を生きている。
いずれ自分が死んだとき、何かの肥やしになれれば、申し分ない。
一生懸命生きれば、死んだとき、きっといい肥やしになるだろう。



いくつもの山を越える。
不思議と、トンネルはない。
小さな川、段々畑、古い工場、農家
広い敷地を持つ豪邸と、そこに止まっている3台の軽自動車。
ここにも、生活している人がいる。
学校があり、産業があり、暮らしがある。
みんな、それぞれの環境で、確かに生きている。

荒川の谷を渡り、寄居駅に着く。
東武東上線は、こんなところにまで来ているのか。
秩父鉄道のSLの看板も見える。
行き違いのため、しばらく停車。
対向列車が数分遅れで到着し、それから間をおかず、こちらの列車が発車した。

いつの間にか、山を抜け、景色が開けていた。
遠くに、妙義山、榛名山、赤城山、男体山が見える。
寄居で乗り込んだ、旅行帰りらしき老夫婦が、出発したときは山にもっと雪があって白かったのにね、というような会話をしていた。

新幹線の高架をくぐり、高崎線の線路と合流し、倉賀野という駅に到着。
時刻は、午後4時を過ぎていた。
これから東京に戻れば、6時くらいにはなるだろう。



よし、帰ろう。
目的地は、神田だ。
妻と母と息子たちが待つ、我が家だ。



湘南新宿ラインに乗り、一気に赤羽へ。
そして、京浜東北線に乗り換え、神田に着いたのは、午後6時だった。
一旦、駅を出るために、自動改札に向かう。
切符は、朝に買った、東京→130円区間の切符だ。
「きんこーん、乗車券を持って、係員のいる改札へお回りください。」
え!?

「あのお、通れないんですけど」
「切符を見せていただけますか?」
「はい」
・・・・・・。
「ああ、朝の10時に東京駅に入ったんですね?」
「はい」
「それから、改札は出ていないんですか?」
「はい」
「どうぞ、お通りください」
「どうも」

どうやら、時間をかけ過ぎると、自動改札は通してくれないらしい。
ネクタイ締めたサラリーマンが、東京駅に10時に入り、神田駅を18に出る。
不思議だっただろうな。
さあ、定期で再度入場だ。
いざ、家に帰ろう。


以上で、西関東逃避旅行はおしまい。
次に逃避するときは、北関東を攻めようかな。


行程・2009年2月17日(火)
東京10:10→10:20品川
    6.8km 京浜東北線大船行
品川10:41→11:23茅ケ崎
    51.8km 東海道本線快速アクティー熱海行
茅ケ崎11:32→12:25橋本
    33.3km 相模線橋本行
橋本12:33→12:44八王子
    8.8km 横浜線八王子行
八王子13:09→13:50高麗川
    31.1km 八高線川越行
高麗川14:32→16:02倉賀野
    60.9km 八高線高崎行き
倉賀野16:14→17:41赤羽
    87.4km 高崎線(湘南新宿ライン)国府津行
赤羽17:47→18:10神田
    11.9km 京浜東北線大船行
総距離:292.0km 東京から豊橋までの距離に匹敵!
運賃:130円!
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テーマ : 不安定な心
ジャンル : 心と身体

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