FC2ブログ

はじめて死にたくなったとき(回想)

死にたくなったのは、あのときが初めてだった。
鬱と診断された今でも、あの感覚を思い出すと、不思議でならない。


2000年、11月3日。3連休の初日。
当時、ぼくは独身で、アパートの5階でひとり暮らしをしていた。
IT会社で働きはじめて1年半、ようやく仕事のやり方にも慣れ、「さあ、これから頑張るか」という時期でもあった。

暗くなり、夕食を食べる。
カップラーメンをすすっていたら、急に頭がくらくらしてきた。
ただのめまいではないことは、すぐに分かった。

急に、飛び降りたくなった。
吸い込まれるように、ベランダに向かった。


ふと我に返り、恐怖でがたがたと震えた。
死にたい理由はまったく無い。
今の妻との婚約も決まっており、希望に満ちている筈だった。
仕事も楽しく、充実していた。
カップラーメンに、何か変な成分が入っていたせいだと思った。

近所の同僚の家に転がり込み、なんとか死ぬことなく、持ちこたえた。


家にひとりでいることが、怖かった。
いつ、また突然死にたくなるか分からない。
絶対に死にたくないのに、死にたいのだ。
いや、死にたいのではない。飛び降りてみたいのだ。

直感的に、「なにかとてつもないことをして、思考回路を切り替えないといけない」と思った。
実行したのは、高額の買い物だった。

昔、ブラスバンドをやっていたことを思い出した。
楽器屋に行き、楽器を買った。
死にたい病の治療に、60万円かかった。
当然、無保険。


今でも当然、その楽器は家にある。
最近、ぜんぜんいじっていない。
1年に1回、年末に押入れから取り出して、掃除をする。
そのときに、当時のことを思い出す。


やっぱり、鬱とはすこし違うのかな、と思う。
あれでもし、ぼくが飛び降りていたら、原因は何と思われていたのだろうか。
きっと「何か悩みがあったのだろう」ということになっていたのだろう。

でも、確かに、あのときぼくは、何の悩みも抱えていなかったはずなのだ。

カップラーメンが食べられるようになったのは、結婚してからである。
関連記事


テーマ : 不安定な心
ジャンル : 心と身体

コメントの投稿

非公開コメント

ランキング参加中
また、ランキングサイトに参戦することとなりました。
グリグリグリっとクリックお願いします。
にほんブログ村 ライフスタイルブログへ
プロフィール

ストラグラー

Author:ストラグラー
システムエンジニア11年戦士。
世の中の出来事や身のまわりのいろいろなことに、興味の向くままに、てれてれと書き綴ります。
闘って撃沈したり、折り合いをつけたり、妥協したり、たまにはガッツポーズしたり。
お気軽にお楽しみくださいませ。

リンクフリー。お気に召しましたら、ご自由にどうぞ。

カウンター
目次

全ての記事を表示する

カレンダー
07 | 2020/08 | 09
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
躁 (8)
本 (6)
月別アーカイブ
リンク
RSSリンクの表示
フリーエリア
edita.jp【エディタ】