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重大犯罪と刑事責任(4)

(『重大犯罪と刑事責任(3)』から続く)

・刑事責任とは

まず、刑法について、調べよう。

刑法には、「近代刑法の2大原則」というものがあるそうだ。
これを否定すると、憲法その他国際法も否定することになるので、ここだけは押さえておく必要がある。

A.罪刑法定主義

B.責任主義



A.罪刑法定主義

罪刑法定主義とは、罪と刑罰は、あからじめ、明確に指定されていなければならないという原則を言う。
この原則の理論的根拠:
  • どのような行為が犯罪に当たるのかを、あらかじめ知らせることによって、人々の自由な活動を保障する。(自由主義の原理からの要請)
  • 何を罪とし、その罪に対しどのような刑罰を科すかについて、国民の代表者たる国会で定め、国民の意思を反映させる。(民主主義の原理から要請)
なのだそうだ。
この原則から導き出される結果:
  • これがなければ、「よし、喫煙は有罪とすることにしよう。そして、見せしめとして、過去喫煙していたやつも有罪としちゃえ。」なんてことが出来てしまう。
  • これがなければ、ある党が政権を取って、そのイデオロギーに反する思想を取り締まる際、明確でない罪をかぶせちゃって取り締まることができちゃう。
公権力による横暴を抑止する意味がある。

B.責任主義

責任主義とは、犯罪行為者に対する責任非難ができない場合には、刑罰を科すべきではない、とする原則を言う。
この原則の理論的根拠:
  • 一般に近代刑法にあって、刑罰は復讐ではなく、見せしめ(一般予防論)と本人の再犯の防止(特別予防論)である。(但し、刑の重さについては、応報的な側面でもって決定される。)
  • これにより、責任非難が出来ない場合に処罰することは、見せしめ、再発予防の観点から、無意味である。

この原則から導き出される結果:
  • これがなければ、偶発事故について有罪となる可能性がある。UFOが飛んできて、自分が運転する車にぶつかって、操縦不能になり、道端の人を轢いちゃった場合、有罪となってしまう。
  • これがなければ、最近話題の「トロッコ問題」は、倫理問題ではなく、犯罪問題である。どっちになっても罪に問われる可能性がある。(責任がない事案について、責任を取らされるということは、そういうことだ。)
  • もしかしたら、脳外科医、心臓外科医は、もれなく有罪ではないだろうか。命を救おうとした結果、その人を死に至らしめたという罪で。(ちなみに、この場合、命を救おうとしなくても有罪だろうな。救うことの出来た命を故意に救わなかった罪。)
  • ついでに、その病院の人全員有罪だな。責任は無いのだけれど、そういう環境を一緒になって作ったという罪で。

この2点、いずれも、民主主義、自由主義的観点から、重要な要素であることは間違いない。
(これがなかったら、全体主義的刑罰が横行する可能性がある)


では、現行刑法に立ち返り、どんなときに犯罪は成立するのか、調べてみよう。

犯罪の成立の3要件、というものがあるそうだ。

1.構成要件該当性

2.違法性

3.責任


このすべてを満たす場合、犯罪が成立するのだそうだ。
それぞれについて、調べてみた。


1.構成要件該当性

事実や行為が犯罪を定めた法条の要件にあてはまること。
構成要件の要素(Wikipediaより引用):
  • 客観的構成要件要素
    • 実行行為
    • 結果の発生
    • 因果関係
    • (状況)
    • (身分)
  • 主観的構成要件要素
    • 故意または過失 (構成要件的故意・構成要件的過失)
      • 故意
        • 犯罪事実の表象と認容
      • 過失
        • 注意義務 (結果予見義務・結果回避義務) 違反
    • (目的)
    • (承諾)


すべての犯罪には、実行行為が必要。
また、故意または過失のどちらかに含まれる。

その他の構成要件要素の有無により、犯罪の罪状が異なってくる。
たとえば、殺人と過失致死と傷害致死の違いは、
  • 実行行為(ナイフが人に刺さる)
  • 結果の発生(人が死んだ)
  • 因果関係(ナイフが人に刺さったから、人が死んだ)
まで同じ。
  • 過失(持ってたナイフが刺さっちゃった)であれば、過失致死である。
  • 故意のうち、殺そうと思って刺したのであれば、殺人である。
  • 故意のうち、殺そうと思わずに刺したのであれば、傷害致死である。

ちなみに、「業務上××罪」は、「身分」が関わってくる。
文書偽造罪などは、「目的」が関わってくる。

構成要件該当性がない、と判断されれば、無罪、という結論になる。
構成要件該当性がある、と判定されると、次の「違法性」を検証するステップに進む。


2.違法性

違法性を問われない特殊事情なければ、違法となる。
特殊事情(Wikipediaより引用):
  • 緊急行為として
    • 正当防衛(刑法第36条)
    • 緊急避難(刑法第37条)
  • 正当行為(刑法第35条)として
    • 法令行為 (例えば労働争議)
    • 正当業務行為 (例えば治療行為)
    • 一般的正当行為
      • 被害者の承諾
      • 推定的承諾
      • 安楽死・尊厳死
      • 自救行為
      • 義務の衝突
  • 超法規的違法性阻却事由

これらに該当する事項がない場合、「違法性」がある、ということになり、次の責任を判断するステップに進む。



3.責任

刑法的に、責任とは、本人を道義的に非難できること、非難可能であることを指す。
責任の有無を判断する要素(Wikipediaより引用):
  • 事実的要素として、
    • 責任能力の有無・程度
    • 責任故意の有無・程度
      • 構成要件的故意 があり且つ
      • 違法性に関する事実の表象 があり且つ
      • 違法性の意識の可能性 があること
    • 責任過失の有無・程度
      • 責任故意の成立要件が欠如すること 且つ
      • 主観的注意義務違反 があること
  • 規範的要素として
    • 適法行為の期待可能性の有無・程度

刑事責任能力とは、犯罪当時、物事の善悪を判断し、それに従って行動する能力のことを言う。

責任能力については、責任能力が完全に無いか、一部無いかの2つの状態がある。
  • 責任無能力状態:責任能力が存在しない状態。心神喪失や、刑事未成年。刑法第39条1項「心神喪失者の行為は、罰しない。」により、罪を問われない。
  • 限定責任能力状態:責任能力が著しく減退している場合。心神耗弱。刑法第39条2項「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。」により、罪を軽減される。

心神喪失とは、精神障害等の理由により、物事の善悪を判断する能力、または、それに従って行動する能力がない状態をいう。
(精神障害等の理由により、という部分が分かりにくいのかも。酔っ払って記憶を無くしたときの状態を想像してくれれば、分かりやすいかな。)
心神耗弱とは、精神障害等の理由により、物事の善悪を判断する能力、または、それに従って行動する能力が著しく減退している状態をいう。
(上に倣えば、酔っ払って記憶があいまいなときの状態)

刑事未成年とは、14歳未満の人のこと。
14歳という年齢が適当かどうか、という議論はあるが、子どもが強盗殺人したから死刑、ということは有り得ない、ということ。なぜなら、子どもは、物事の善悪を判断する能力、または、それに従って行動する能力がないからだ。
(カナダで5歳児が7歳の兄を殺したというニュースがあったが、この5歳児を罰することは、日本でも出来ない)

但し、自らアルコールを大量摂取したり、薬物投与する等により、故意に心神喪失に陥った場合、この要件は適用されない。
本件、最高裁判例あり。飲酒運転は、いくら酩酊状態であったとしても、重大な罪である。
つまり、故意でなければOKということである。
無理矢理飲まされ、記憶をなくし、運転させられ、死亡事故を起こした場合、無罪である。

期待可能性とは、犯罪当時、適法行為を行うことができる状態だったことを言う。
期待可能性がない、とは、合法的な行為を行える立場にない状態であったことを言う。
(絶対者からの命令、脅迫、等々)


以上、まとまったのかな?
とりあえず、個人的納得感はあるので、良しとしよう。

では、次回に続く。
続き:『重大犯罪と刑事責任(5)
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