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重大犯罪と刑事責任(6)

(『重大犯罪と刑事責任(5)』から続く)

刑罰に関する世論の動向について。

内閣府が5年に1回調査している、「基本的法制度に関する世論調査」というものがある。
平成6年、11年、16年と行っており、次回はおそらく来年行われるであろう。

過去3回で、若干調査内容が変わるが、Q1~Q5については、質問内容の変更がほとんど無い。
ご紹介しよう。
Q1 あなたは、今までに、裁判所を見学したり、裁判を傍聴(ぼうちょう)したりしたことがありますか。
  • ある
  • ない

Q2 死刑制度に関して、このような意見がありますが、あなたはどちらの意見に賛成ですか
  • どんな場合でも死刑は廃止すべきである→SQa1へ
  • 場合によっては死刑もやむを得ない→SQb1へ
  • わからない・一概に言えない→Q3へ

SQa1 「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」という意見に賛成の理由はどのようなことですか。この 中から、あなたの考えに近いものをいくつでもあげてください。
  • 人を殺すことは刑罰(けいばつ)であっても人道に反し、野蛮(やばん)である
  • 国家であっても人を殺すことは許されない
  • 裁判に誤りがあったとき、死刑にしてしまうと取り返しがつかない
  • 凶悪な犯罪を犯した者でも、更生(こうせい)の可能性がある
  • 死刑を廃止しても、そのために凶悪な犯罪が増加するとは思わない
  • 生かしておいて罪の償(つぐな)いをさせた方がよい
  • その他
  • わからない

SQa2 死刑を廃止する場合には、すぐに全面的に廃止するのがよいと思いますか、それともだんだんに死刑を減らしていって、いずれ廃止する方がよいと思いますか。
  • すぐに、全面的に廃止する
  • だんだん死刑を減らしていき、いずれ廃止する
  • わからない

SQb1 場合によっては死刑もやむを得ない」という意見に賛成の理由はどのようなことですか。この中から、あなたの考えに近いものをいくつでもあげてください。
  • 凶悪な犯罪は命をもって償(つぐな)うべきだ
  • 死刑を廃止すれば、被害を受けた人やその家族の気持ちがおさまらない
  • 死刑を廃止すれば、凶悪な犯罪が増える
  • 凶悪な犯罪を犯す人は生かしておくと、また同じような犯罪を犯す危険がある
  • その他
  • わからない

SQb2 将来も死刑を廃止しない方がよいと思いますか、それとも、状況が変われば、将来的には、死刑を廃止してもよいと思いますか。
  • 将来も死刑を廃止しない
  • 状況が変われば、将来的には、死刑を廃止してもよい
  • わからない

Q3 死刑がなくなった場合、凶悪な犯罪が増えるという意見と増えないという意見がありますが、あなたはどのようにお考えになりますか。
  • 増える
  • 増えない
  • 一概には言えない
  • わからない

Q4 日本では、刑務所に収容する刑罰として、懲役刑(ちょうえきけい)と禁錮刑(きんこけい)があり、犯罪の質や内容によって、処罰を区別しています。懲役刑は、刑務所に収容して一定の作業をさせます。一方、禁錮刑は、刑務所には収容しますが、本人が希望する場合にだけ作業をさせます。このような懲役刑と禁錮刑の区別について、この中からあなたの意見に最も近いものを1つだけお答えください。
  • 現在のように犯罪の性質や内容によって、懲役刑(ちょうえきけい)と禁錮刑(きんこけい)を区別しておいた方がよい
  • 犯罪の性質や内容によって区別せず、懲役刑に一本化し、刑務所に収容した上で一定の作業をさせる方がよい
  • 犯罪の性質や内容によって区別せず、禁錮刑に一本化し、刑務所には収容するが、本人が希望する場合にだけ作業をさせる方がよい
  • その他
  • わからない

Q5 罰金刑について伺います。十分にお金を持っている人とあまりお金を持っていない人が、それぞれ同じような犯罪を犯して、裁判で、罰金刑に処せられる場合、その罰金額をどのようにすべきだとお考えでしょうか。この中から1つだけお答えください。
  • 同じような犯罪を犯したのだから、同じような罰金額にすべきである
  • 十分にお金を持っている人と、あまりお金を持っていない人とで不公平にならないように、それぞれの資力を考えて、罰金額に差をつけるべきである
  • 罰金額の大小、犯罪の性質や内容によるので、同じような罰金額にすべきかどうかは一概に言えない
  • その他
  • わからない


死刑についての質問のうち、Q2、SQa2、SQb2の結果は、以下のとおりである。
H6H11H16
どんな場合でも死刑は廃止すべきである13.68.86.0
  すぐに、全面的に廃止43.242.139.8
  だんだん減らしていき、いずれ廃止51.952.253.7
  わからない4.95.76.5
場合によっては死刑もやむを得ない73.879.381.4
  将来も廃止しない53.256.561.7
  状況が変われば廃止しても良い39.637.831.8
  わからない7.25.76.5
わからない・一概に言えない12.611.912.5

(単位は%)
グラフ化すると、こんな感じ。(クリックすると、でっかくなります)
無題

左から1つ目~3つ目が、死刑廃止派。4つ目~6つ目が、死刑容認派。(縦軸単位は%)
「将来的にも死刑は止む無し」この意見の伸びが著しい。平成16年には、遂にこの意見が過半数を超えた。
むしろ、積極的に死刑を肯定する意見と考えるほうが正解だろう。

他にもいくつか調査結果があったが、それらは、結果的に偏った調査方法である可能性が高く、信用に足るものではないと判断した。また、経年変化を確認できる資料ではないこともあり、すべて割愛させていただいた。

死刑容認派にとって、この調査結果は大きな根拠となっている。



刑罰に関する世界情勢について

アジアでは、イスラム教国や東アジアを中心に、死刑執行数が多い。
日本は、先進国で唯一死刑執行が増加している国である。
シンガポールは、どんな犯罪でも死刑になり得る。
中国は処刑数が多いが、人口も多いので、一概に死刑が多い国とは言えない。
北朝鮮では即決公開処刑があるようである。

アフリカでは、南部の死刑廃止が目立つ。
北部では、イスラムの影響で、死刑存続している国が多い。
西部は、フランスの影響で、死刑を停止している国が多い。

中東諸国では、コーランの教えに沿い、死刑が多い。
また、イスラム原理主義に基づく厳罰であるという側面がある。
このため、イランでは死刑の執行が多い。

ヨーロッパでは、実質的に、死刑制度の廃止が各国間のコンセンサスとなっている。
EUは、理由は、不必要かつ非人道的であるため、死刑廃止を加盟条件としている。
ロシアでは、1999年に憲法裁判所が死刑判決を正式に禁止した。
また、ヨーロッパ以外の諸外国(日本やアメリカ)に対し、死刑廃止を迫っている。

オセアニアでは、死刑を非人道的としており、事実上死刑制度が存在しない。

北中南米では、多くの国で死刑が中断・廃止されている。
アメリカは州によって違うが、多くの州で死刑が続いている。


つい先日、このようなニュースがあった。
毎日JP/2008-12-20:
 【ニューヨーク小倉孝保】国連総会は18日、死刑執行の一時停止などを求める決議案を賛成多数で採択した。決議採択は2年連続。日本は昨年に続き反対した。賛成国は昨年より2カ国増えた。
 決議案は欧州連合(EU)やオーストラリア、イスラエルなどが提案した。賛成は106カ国。反対は日本や米国、中国など46カ国(昨年54カ国)、棄権は34カ国(同29カ国)だった。

これが、世界の情勢を如実に表しているものと考える。

以上、続く。

続き:『重大犯罪と刑事責任(7・最終回)
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