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富士山

ぼくがはじめて富士山を見たのは、23歳か24歳のときだった。
ものすごく遅いほうだと思う。
そもそも、こういう類のものの全国平均値、ってあるのだろうか。


あれは、新幹線で、はじめて東京に行くときのことだった。
どちらかというと、そのたびは、最初から良い思い出なんか出来るはずの無い旅だった。
東京では、何も楽しいことは待っていなかった。
ぼくが今まで生きてきた中でも、最も重い気分の部類に入る旅行だった。

新幹線の自由席で、いまならまだ引き返せる、と思いながら、引き返せずにいた。
名古屋で降りて、反対側の新幹線に乗れば、東京に行かなくて済む。
でも、結局、名古屋で降りなかった。
次の停車駅は、もう東京だった。

浜名湖も渡り、天竜川も渡ったが、何も覚えていない。
ただただ、東京に着くのが嫌だった。
静岡を過ぎて、トンネルを抜けた。

唐突に、富士山が見えた。
いや、見えたというよりも、車窓が富士山でいっぱいなった、そんな感じだった。
麓から山頂まで、ぜんぶ見えた。
上半分は真っ白だった。
色・形は、昔からよく写真で見たそのものだった。
でも、写真より、かなり、とても、すごく、大きかった。


あれから10数年。
まさかぼくが東京でSEとして働いているなんて、あの当時はまったく想像すらしていなかった。
東京から富士山まで、直線距離で約100km。
滅多に見ることはない。
でも、富士山が見えるところに行くと、探してしまう。
あの霞の向こうに、富士山が見えるはずなのだ。


今日、日没後、偶然富士山を見た。
下の息子とドライブに出かけていたときだった。
ショッピングモールのおもちゃ売り場でひとしきり遊び、夕方になったので、そろそろ帰ろうと、屋上駐車場に向かった。

オレンジ色の夕焼けをバックに、富士山が黒々と浮かび上がっていた。

息子が「富士山!」と叫んだ。
「そうだねえ、きれいだねえ」と相槌を打つ。
しばらくふたりで見とれていた。



明日からまた仕事だ。
また、なんとか頑張って行けそうだ。
富士山に、感謝。
息子に、感謝。
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テーマ : ひとりごと
ジャンル : 心と身体

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No title

私の自宅の近くにもとってもきれいに見えるところが
あります。
特に、冬のこの時期はとてもきれいに見えることが
よくあります。

思いのほか、大きく見えるんです。
やっぱり富士は日本一の山って貫禄を感じます。
きれいだな~って感じられるのはとても幸せなことですね。


返信>らいりさん

他の山とは、威厳とか貫禄とか存在感とか、何もかも違いますよね。
「山」というカテゴリーを超越しているような気がします。

遠くから眺めるだけでなく、いつかは登ってみたい、と、たまにですけど思います。
まずは車で5合目まで、かな。
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